【読み切り物語】蒼い波風の進む先には

ぼんやりとした意識の中、まだ眠りたい欲求な誘われるかのように再び瞼を閉じる。
金属の固まりに寄りかかるようにして眠ろうとする少年を、金属の固まりが必要最低限に首だけを動かし、主の様子を伺う。
既に眠り落ちたのか、寝息は規則正しく表情も普段より穏やかな様子が伺えた。

全世界が戦乱の地となっている今、安息できる場所がない人間にとっては束の間の休息は大事なもの。
ましてや、個体能力から選抜されたとはいえ、まだ成人にも満たない彼が
世界規模の戦争に駆り出されてしまった事自体の負担が大きい。

「ん……」

もぞりと動く少年が抱える物騒な長銃は身を守るために国から配布された物。
寝返りで動いた銃身が金属の固まりにぶつかり、軽い金属音が睡眠を妨げた。

「…ッ!……あ、あれ……?」

慌てて飛び起きた少年は辺りを見渡すも、殺風景で雨宿りが出来る程度に壊れかけた小屋と、
静かに見守ったままの金属の固まりだけだった。

「『touch』。銃との接触による音の発生。おはようございます。マスター」

自らの失態で飛び起きた事に苦虫を噛み潰した表情を浮かべつつ金属の固まりを睨む。

「……サイン、どれくらい寝てた」

サインと呼ばれた金属の固まりは、マスターと呼ばれる少年の質問に感情無く応える。

「『three hours』。3時間。予定された時刻への猶予は284時間13分57秒」
「周囲の状況は」
「『No problem』。問題無し。半径10㎞以内の生体反応は不検出」

正式名称は自立型随行支援試験機。型式、S9ーW48β。通称、サイン。
見た目こそアンティークな造りだが、情報収集・解析を得意とするオールドタイプのロボットの試験機で、
少年を主として実践投入された国家兵器。
戦争の前線へと合流し、前線部隊との情報共有・解析を行うのが目的である。
本来ならば衛星を使った通信で事足りるのだが、防衛前線では相手側による強力な磁気嵐で
あらゆる機械を機能させない戦法を行ってくる為、その対抗策として磁気嵐を物ともしないサインの試験投入が行われたのだ。
後継機の開発も既に始まっており、磁気嵐の中で耐えうる性能情報を持ち帰る任務も受け持っている。

ゆっくりと腕を上げて背筋を伸ばして凝った身体をほぐした少年は、長銃を杖として立ち上がる。
彼もまた、磁気嵐に対抗出来る生体組織が身体に仕込まれている為、普段通りの身動きが取れている。

「それじゃ、行こうか」
「『roger that』。了解」

まだあどけなさの残る彼に続き、サインもゆっくりと立ち上がる。
防衛前線までの道のりはまだまだ遠い。
目的地の方向へと流れる優しい追い風が健闘を祈るとでも言うかのように背中を押して、彼らの旅路は再び始まった。

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

協賛:開発部 足高

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おはようございます。こんにちは。こんばんは。おやすみなさいませご主人様。
開発部の柿本です。

恐らくここの文章まで読んで下さった方は、目や脳がお疲れかと思われます。
今すぐ目を閉じてホットアイマスクで目の周りの筋肉を解してゆっくり休んで下さい!!

今回、社内から「開発部の情報が少ない!」という事で、先鋒を勤めさせて頂きました。
特にお題は頂いてないので、どうせなら…と、趣味の1つを弊社の情報を交えてちょっとした
物語を届けようと思い、冒頭のようなお目汚しな短編小説のプロローグ的な物になってしまいました。
申し訳ございませんm(_ _)m

補足致しますと、文中に出てきた『正式名称:自立型随行支援試験機。型式:S9ーW48β。通称:サイン』
は適当に創造した名称なのですが、実は、弊社には『サイン君』と呼ばれるロボッドが2機居ます。

1つは、弊社ホームページで見かける目の片方が大きいいかにもロボットしてるロボット。
もう1つは、弊社サービス『ひとり英会話 SiF』に登場する可愛らしいイラストのロボット。
社内では世代交代しようという案が出ており、その背景を協賛して頂いた足高より設定案を頂き書いてみた物です。

あ、お仕事の時間中にはこんなこと書いてませんからね!?日中はちゃんとお仕事してますよ!
休憩時間や通勤時間で書いてる内容ですので!お仕事の時間中にはこんなこと書いてませんからね!!!
(大事なことなので二度言いました)

もしこんな駄文が気になった方がいらっしゃいましたら、
是非ともサインウェーブの柿本までお問い合わせ下さい!

続編も書きたいなぁ……(淡い期待)